高カリウム血症とは、血液中のカリウム濃度が非常に高い状態をいいます。
カリウム濃度の上昇には、腎疾患、腎機能に影響する薬剤、カリウムサプリメントの過剰摂取など多くの原因が考えられます。
不整脈などの症状が現れる頃には、重度の高カリウム血症が起こっているはずです。
基本的に腎臓はKを排泄する力が十分にあります。
よって高K血症が持続するためには、必ず腎でのK排泄障害が背景にある!
高カリウム血症の原因
麻酔・手術中の高カリウム血症は、腎不全、肝機能障害、薬物(カリウム、カリウム保持性利尿薬、ヘパリン、NSAIDs、サクシニルコリン)、内分泌疾患、外傷や熱傷、神経筋疾患アシドー シス、大量輸血など種々の原因で起こります。
なお、NSAIDsは、腎障害の方に長期間投与した際に出現することが報告されているため、短期的な投与での関与は低いのではないかと言われている。
クラッシュシンドロームは2時間以上の圧迫による筋細胞障害から開放された場合に起こると言われているため、障害と開放のセットが誘発条件となる。
高カリウム血症の原因は大きく分けて2つ
細胞内シフト
①代謝性アシドーシス
人では、pHが0.1減少すると、Kga0.2〜1.7mEq上昇すると言われている。
原因には、ケトン体および乳酸の蓄積、腎不全、薬物または毒素の摂取(高アニオンギャップ)、消化管または腎からのHCO3−喪失(アニオンギャップ正常)などがある。
②β-ブロッカー
単独ではまれ。
③糖尿病
腎排泄低下
①腎不全
②RAAS活性低下
③有効循環血症量低下
高カリウム血症の治療
動物や状況によって異なる。
治療方針は大きく3つ。
➀致死的不整脈を予防するための心膜電位の安定化
②細胞外から細胞内へのカリウムの移行
③カリウムの排泄
人
K>6.5あるいは、心電図変化ありで、緊急治療開始!
K>6で、是正のための治療は開始する。
Kの値と心電図の変化に相関はないという報告もあるため、その前提で判断する。
①グルコン酸カルシウム
10%溶液を5〜10ml 緩徐に静脈より投与、およそ1〜3分後に効果発現し、30〜60分効果持続。
心臓の膜電位の安定に寄与し、VT、VF防止に有用だが、直接的にK濃度の低下は認めないので注意。
②重炭酸ナトリウム
50mEq投与(最大で1mEq/kg)、15分後に再投与。
必要に応じて100mEq/5%Glu1000mlとして1〜2時間で点滴。
5〜10分で効果発現し、1〜2時間持続する。
0.5〜1.5mEqの低下が期待できる。
重炭酸ナトリウムの使用については賛否があり、適用判断も必要との見解がある。
アシドーシスが目立つ場合のみに利用とすることが多い。
③グルコース・インスリン療法(GI療法)
50%Glu50ml+レギュラーインスリン10U。
必要に応じて10%Glu500ml+レギュラーインスリン10〜20U を1〜2時間かけて点滴。
効果発現は30分後で、持続は4〜6時間。
0.5〜1.5mEqの低下が期待できる。
上記に加えて、β刺激薬をネブライザーで実施するが、単独では禁忌。
併用すると、相乗効果があることが判明している。
インスリンやβ-agonistsはNa-K ATPaseを活性化し、血清カリウムを細胞内へシフトさせる。
④フロセミド
40〜80mgを投与。
利尿抵抗性がある場合は、用量を増やす。
効果発現は15分後で、2〜3時間持続。
そもそも尿が生成されている場合は適用は???と言われる。
1ml/kgが通常の尿生成速度。
成人男性で平均して1500ml、女性で 1200mlが1日の尿生成量。
これが 400ml以下で乏尿、100ml以下で無尿。
⑤陽イオン交換樹脂
ポリスチレンスルホン酸Na/Ca
2時間後から効果発現し、4〜6時間持続効果。
⑥透析
⑦輸液
リンゲルを選択する。
生食でもダメではないが、代謝性アシドーシスを悪化させる可能性も示唆されている。
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