本日は、レーズンを食べてしまったという柴犬さんがご来院です。
動物には中毒性物資がある
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、犬や猫では食べてはいけない中毒物質があります。
有名なところでいうと、チョコレートやネギ類などがありますが、「ブドウ」も中毒を起こす可能性があります。
手元の文献などによると、中毒量は定かではなく、一粒でも中毒を起こし、急性腎不全になる可能性があるとのこと。
ちなみに、中毒が起こるのは6〜24時間後くらいが目安のようです。
むろん、中毒量やその発現時間には、個体差があります。
いずれにせよ、催吐処置が必要という判断です。
来院、食べたレーズンの外装箱を確認
ということで、しばらくすると、ご来院。
すみやかに、ライン確保を実施して、レントゲン検査、血液検査を実施。
催吐処置を実施していきます。
ちなみに、食べてしまった量は、一箱(実物をみると、タバコケースくらい)。
一箱あたりに何個入っているのかは不明ですが、それなりの数であると推測されます。
複数回に分けて吐くものの、全量は不明です。
ベストを言うのであれば、全身麻酔をかけて内視鏡、目視で可能な限り除去したうえで、胃洗浄でしょうが、オーナーと協議の上、吐かせるだけ吐かせて、あとは様子見とあいなりました。
経済的負担、検査や処置による動物へのリスクとその許容、手技の時間、オーナーの意向など、様々な要因から、必ずしもベストな選択は1つではありません。
そのため、インフォームド・コンセントのもとで、協議して決定していくことが多いです。
制吐剤と、胃酸分泌抑制剤、補液を実施してお返しいたしました。
指導もまた治療の1つ!
オーナーには、誤食しないような管理体制を今後はしっかりと指導して終了です。
夜間救急のおよそ1/3くらいは誤食と言われます。
胃内にあるのは2時間を一つの目安にしていますが、4〜6時間くらいは残留していることが多いです。
残留しているだけで、一部は小腸に流れてしまったりしていますが、それでも吐かせる意義は大きいです。
胃内にある間に処置をすることが重要なので、とにかく時間との勝負です。
①誤食を疑ったらできるだけ早く受診を!(時間との勝負です!)
②中毒の発現はすぐとは限らないので、今の状態が元気でも油断しない!
③吐かせられる場合とそうでない場合がある!
④吐かせれば必ず大丈夫とは言えない(すでに吸収されている分、吐かせ切れなかった分はあるかもしれない)
⑤吐かせることにもリスクがある。
最後に、厳しい言い方ですが、「⑥誤食はオーナーの管理責任です!」。
食べてしまった犬や猫がイケないのではありません。
食べられる状況を作ってしまったオーナーがイケないのです。
自分の不注意で、動物を命の危険に晒すことになったという自覚は必要です。
と、なんで厳しく言うかというと
誤食で来院される方って、それなりの頻度で再び違う誤食で来院されるんですよね。
注意すれば防げる病気・怪我は、ぜひとも防ぎましょう!
指導は、予防と同じです。
それによって、病気や事故が防げるのであれば、同義と言えますから、非常に重要だと考えています。
オーナーに嫌われることがあるかも知れませんが、積極的に注意喚起はしていき、適切な指導を心がけています。
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