食べてはいけないわけではないけど、偏ってはダメ!
前回に引き続き、誤食?のようなものです。
誤食!と断定していない理由は、「それ自体は食べてはいけないものではないから」です。
これはどういうことかといいますと、偏食ですかね・・・量も含めて間違ったなら誤食ではありますけどね。
例えば、生命の維持に必要な「水」ですら、過剰摂取は水中毒を起します。
人間でいうと、フライドポテトとかも、適切な量であれば問題ないですが、過剰に摂取してしまったり、そればかり食べてしまうと(つまりは偏食)健康に有益とは言えません。
ようは、ちょっとならば問題ないものでも、大量に食べるとそれは有害なのは当然ですよね・・・というお話です。
気持ち悪そうにしているが、吐いてはいないとのお電話・・・
気持ち悪そうにしているということで、お電話がありました。
心当たりはありますか?
そう尋ねると、具体的にはないけど、普段からお父さんが色んなものをあげているので、それかも?とのことでした。
まずは診てみないと何とも言えないから診察をオススメ。
いつものように、留置針、血液検査、レントゲンの準備をしておきます。
ワンコさん、来院。
実際に来院されると、たしかに気持ち悪そうにしてはいて、元気はあまりないものの、そこまでではありません。
速やかにルート確保して、血液検査、レントゲンへと進めようとしたところ、、、
採血時に明らかな異常を認めました。
「見た目で血液の色がおかしい!」
あえて写真は載せませんが、気になる方は、「脂血」とかで画像検索をネットでして見て下さい。
採血時の抵抗感から、粘度は高そうです。
色は、ミルキーレッド・・・透明度はほぼありません。
典型的な脂血の色ですね。
この時点で、「脂系のものを異常に食べたな」と推測されました。
色んなものを与えているとのことでしたが、例えば何を与えるのかを詳しく聞いてみると、お父さんがワンコに「大量の酒のつまみや肉」を与えているとのことでした。
脂身を中心に与えていたようです。
血液検査の精度
この血液を血液検査にかけたところで、精度は悪く、測定エラーなども出る可能性はあります。
しかし、それも承知のうえで検査を実施。
案の定、T-cho(総コレステロール)の値や、肝臓系の値は異常値を示しました。
遠心分離機にかけた後の血清の上澄みは明確に白く、乳び血清。
高脂血症が診断名として候補の第1にあがります。
脂質代謝異常などもありますが、ヒストリーとして、脂血になってしかるべきものを与えていますので、単純に食事由来のものの方が疑いが強いです。
処置と注意など
胃内にはもう残渣が残っていないようでしたので催吐処置は実施せず、制吐剤、制酸剤、補液をして処置を終了と致しました。
肉を与えてはいけないということではありません。
量であったり、質であったり、形であったり、様々なものが適切になされる必要があります。それも踏まえて考えると、犬猫用の既製品、それも食べ慣れたものを適切な頻度と量であたえるのが無難と言えるでしょう。
今回の指導は、お父さんに直接したいところです。
来院時にはお父さん以外の方がいらっしゃってましたので、「ダメ」という自覚がある方に指導しても意味がありません。
また、家族が諭して言うことを聞くくらいなら、すでにあげていないでしょう。
「(趣旨は伝えず)お父さんを動物病院に連れて行き、直接注意を受けてもらう」ように仕向けるのがよいかも知れませんね。
家族の言うことは聞かなくても、濁った血液と異常値を見つつ、獣医師から直接指導されると予防効果は期待できるかも知れません。
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