何かを吐こうとして、でも吐かないという感じの「空嘔吐」を訴える患者さんがいらっしゃいました。
診察中の様子から、それは、「空嘔吐」ではなく、「咳」だと判明しましたので、あるあるとしてご紹介します。
犬や猫の病気で代表的な病気・・・
ネットで検索すると、上位にランキングされるものがいくつかあると思います。
サイトによってその内容が多少異なりますが、20年近く動物病院で診療をしてきた経験からすると、1位かどうかはともかく、上位なのは間違いないと思っています。
犬:心臓病
猫:腎臓病
犬では、「しんぞう」が悪くなり、猫では濁点(゛)がついて、「じんぞう」が悪くなるんですよね。
これは、動物種としての特性だと思います。
もちろん、現代では科学的にそれを裏付けるデータというのがあるのですが、ここでは割愛いたします。
今回は、基本的なことをお話したいと思いますので、詳しく病気を知りたい方は少し物足りないかもしれません。
犬の心臓病
犬は、心臓が悪くなりやすい動物です。
具体的には、「僧帽弁閉鎖不全症」になりやすいです。
これは、心臓が血液を送り出すときに、逆流防止のための弁がきちんと機能しなくなる病気です。
前に送り出したいのに、部屋の出口のストッパーが役に立たないので、送り出した血液が逆流して戻ってきてしまいます。
心臓の部屋の中は、逆流してきた血液で部屋がパンパンになります。
こうなることで、心臓が「拡張」してしまいます。
これを「拡張型心筋症」と言い、心臓が見た目大きくなるので、「心肥大」と呼ばれます。
*他にも心肥大の原因はあります。
心臓病で咳が出る
血液が一部逆流している・・・この時点で、全身に血液を送り出すという「機能」が低下していることは、お判りいただけると思います。
ここで、さらなる二次被害が待っています。
心臓が肥大すると、「気管」を圧迫してしまうのです。
人間と違って四つ足で立っているので、心臓が肥大すると、物理的な圧迫によって、下から気管を押し上げます。
そうなると、ひとつの症状が出ます。
「咳」です。
人間のようなゴホゴホ・・・という咳ではないですね。
ここが要注意!です。
カハッという、何かを吐き出そうとするような咳をします。
ご自身で、のどぼとけあたりを指でゆっくりと押してみてください。
おそらく、同様の、何かを吐き出そうとするような咳が出ます。
*ゆっくりと、無理のない範囲で、、、自己責任で実験してみてください♪
咳をしているのに、はたから見ると咳をしているとは気づかない・・・
のどに何か引っかかってるのかしら?と思ってくれればまだマシでしょうか。
ちょっと動いた後、むせた、くらいに見逃しがちなサインです。
犬は心臓が悪くなるのが一般的な動物です。
咳き込むしぐさが認められた場合は、すでに心肥大が起きていて、それなりに進行している状態が疑われます。
できればその前に気づいてあげたいところですが、
万が一、咳き込む症状があった場合は、すぐに動物病院を受診しましょう!
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