感電事故発生!

診療ブログ
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本日は、「感電」してしまったワンコが来院したお話をしたいと思います。

結果としては、不整脈等の心臓へのダメージ、神経ダメージによる肺水腫は「診察時は」なし。
口唇付近に火傷をおっていたようです。
その時は、何事もなく退院しましたが、48時間の厳重な経過観察を指示してお返しとしました。

意外と身近な感電事故

感電するというのは、あまりない事件のように感じる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、年に数回はいらっしゃいます。
ほとんどは、「コンセントに刺さったコードを噛んでしまったことによる感電」です。
この季節は、ヒーター、コタツなど、保温系の器具を使用する頻度が高いです。
実際に、今回の感電の原因も、ペット用ヒーターマットのコードを噛んでしまったことによる感電でした。
 *コードは、噛みちぎり防止のための強化加工されていましたが、ワンコのガジガジが勝った感じでした。

感電するとどうなるのか

強烈に感電すると、死に至ることもあると思いますが、私の個人的な経験でいくとまだ出会ったことはありません。
240Vという高電圧だったり、落雷だったり、あるいは、全身水で濡れていて通電しやすかったりと、通常とは異なる条件だと起こりうることかも知れません。
当然ですが、一般の家庭用電源での感電ならば死なないから大丈夫と言うことではありません。

重篤なケースでは、「感電死」ですが、ほとんどの場合は、以下の2つだと思います。

①感電による局所的な火傷
②電気的障害による組織損傷、特に神経系のダメージ

①の火傷は、多くの場合、噛んだ場所付近である、歯茎、口腔粘膜や口唇近くにできます。
感電での皮下組織、筋肉損傷は、随意的な運動ができなくなるマヒのような知覚障害が現れたりします。
血液循環障害が疑われれば、減張切開と呼ばれる緊急の外科的処置が必要な時もありますし、場合によっては部分的に切除する必要もでることがあります。

大抵は、普通の火傷と同じように治療して完治することが多い印象ですが、油断はできません。

②の障害は、大きいところでいうと、心臓と、肺に注意することが多いです。
*もちろん様々な障害があるのですが、ここでは詳細は控え、ざっくりとお話しします。

心臓では、不整脈が起きるリスクがそれなりにあります。
AEDなどの除細動を行なう際に、電気ショックを与えるのはなんとなくご存知か、あるいは想像ができると思います。
逆に、健康な心臓に通電すると弊害が起きることも想像はできるのではないでしょうか?
致死的な不整脈が起きると、生命の危険に晒されます。
感電で注意しないといけないものの1つですね。
なので、心電図をモニタリングすることは、感電の際には必須となります。
感電直後から、1~2日は要注意として気をつけていきたいところです。

肺については、神経性肺水腫という、肺に水が溜まり呼吸困難となる状態が危惧されます。
こちらも感電直後から同様の期間を要観察としていきたいところです。

経過観察の期間

以前、中毒でもお話をしたかも知れませんが、、、
オーナーの方は、何かトラブルがあった際の直後数分から1時間は要注意として様子を見ることが多いですが、その後は「何もなかった」として安心してしまうことが非常に多いです。

数日後に初めて中毒症状がでる中毒物質は多々ありますし、むしろ、数分で症状が出るものの方がはるかに少ないです。

感電も、感電時はもちろん危険ではありますが、それ以後は観察期間から外せるかというとそうではありません。
先生方によって、あるいは成書でもバラツキがありますが、48~72時間くらいは厳重に観察が必要なケースは多々あります。

交通事故、落下事故、頭部外傷、感電、火傷、誤嚥、中毒、咬傷、外傷、捻転やうっ血を含む血行障害・・・などなど、時間の経過で症状が出て来たり悪化するものはたくさんあります。

因果関係として、問診時に、数日以内に起きたことの心当たりを聞くようにしているのも、オーナーが「もう数日前だから関係ない」と思い込んでいることがあるためです。

なにかトラブルがあった際には、動物病院をすぐに受診して獣医師の指導にしたがってくださいね!
「今、大丈夫だから大丈夫」は、本当に大丈夫だとは限りません。

管理責任です!

今回は、きちんと噛みちぎり防止の強化加工がされたコードでしたので、100%オーナーに非があるとは言い切れません。
しかし、原則としては、管理責任が問われるケースです。
(ちょっと厳しいとは思いますが、立場上、そのようにお話ししています)

・予め噛み千切るかもしれないということを想定し、噛んでも耐えられるものを使用する。
・噛むことがわかっているのであれば、そもそも違うものを使用する。
・そもそも噛まないようにしつけトレーニングを実施しておく。

などなど、やれることは実施しましょう!
(実際にはできること、できないことがありますので、できることからやりましょう。難しい場合は、トレーナーや獣医に相談しましょう!)

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