万が一のリスク

診療ブログ
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滅多に起こらないけど、極稀に起こることを「万が一」という言い方をすると思います。
厳密な意味合いや語源などは存じ上げませんが・・・
仮に、確率を文字通りに10,000分の1だと仮定したお話です。

リスクについての説明

動物病院で診療を受けた際に、「万が一のリスク」について、説明を受けるケースはありませんか?
死ぬかもしれませんと脅されるかのように散々リスクを説明され、責任は持てない部分があるから、リスクは覚悟してね!というような説明は誰しも聞いたことがあるのではないでしょうか?

もちろん、言い方、説明の仕方は配慮して伝えるように努めています。
しかし、あまりにやんわりと伝えると、オーナーにリスクの説明が真に伝わらないこともあるので、、、、
マジメに伝えるために真剣に話をすると、どうしてもキツい言い方になってしまうこともあります。
受け取り方にとっては不快な思いをさせてしまうことも重々承知の上で、真実を正確にお伝えしようとした結果ですが、オーナーにとっては衝撃でしょう。

しかし、インフォームド・コンセントの視点からも、このリスクについての説明は必須と言えます。

責任逃れの言い訳ではありません

インフォームド・コンセント(informed consent)は、「十分な情報を伝えた(説明した)上での合意」を意味する概念です。
治療や検査の内容についてよく説明を受け十分理解した上で、オーナーが自らの意志に基づいて方針に合意する(同意する)ことです。

ここで重要なのは、単なる「同意」だけでなく、説明を受けた上で治療を拒否することもインフォームド・コンセントに含まれるということ。
また、あくまでも、選択権・決定権はオーナーにあるということです。

説明の内容は、効果やリスクだけでなく、代替治療、副作用や成功率、費用、予後なども含んだ正確な情報が与えられることが望まれています。

上記のことからもわかるように、獣医師には、説明責任がありますが、あくまでも決定はオーナーがするものだということなのです。
そして、結果に対してなんら補償するものではないため、リスク等にたいしては、オーナー側が受け入れるしかありません。
だからこそ、リスクについての説明は特に十分になされる必要があるのです。

確率と、事象が起きる頻度

話をインフォームド・コンセントから戻します。
万が一、つまり、10,000分の1の発生率のリスクがあるとします。
滅多に起きないとお思いの方はいらっしゃるかと思います。

実際に、オーナーにしてみれば10,000分の1でしょう。
しかし、獣医師はそうは考えません。

毎日15件の診察があったとすると、月に20日稼働でも300件/月。
年間では3,600件です。
つまり、3年に1度は万が一が起きる計算です。

3年に1度、説明不足による重大事故が起きる動物病院って、良い医療機関でしょうか?

オーナーにとっては滅多に起こらない万が一ですが、獣医師にとっては想像以上に高頻度で起きる事故です。

ちゃんとリスクについては説明をする動物病院を選びましょう!

オーナーが、
「滅多に起きないにもかかわらず、リスクを説明して脅してくる。自己責任と自己選択、自己決定を迫ってくる」
と思っている動物病院・・・
本当は危機管理がしっかりとしていて、インフォームド・コンセントをちゃんと行なっている医療機関だと思います。

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