飼い主さんの呼称について

診療ブログ
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直接的な診療ではありませんが、今日は動物病院における「飼い主さん」の呼称について述べたいと思います。

完全に、個人の意見ですので、様々な意見があると思います。
ただ、私なりの思い、考えがあってのことでの結論です。
時代の流れや考えの変化によって変っていくと思います
どれが良いとか悪いということはあまりないかなあと思っていますので、あくまでも私の考えということでご理解頂けると嬉しいです。

ペットの呼び方

まず、歴史?的な経緯から述べると、ペットは、
家畜 → ペット(愛玩動物) → 家族(伴侶動物・コンパニオンアニマル) と変遷してきたように思います。

なお、比較的最近まで、学会等でのペットの正式な呼称は「患畜」でしたが、近年は「患者」となっています。

こういった変化は、実質的なことではないかも知れませんが、素晴らしいと思います。

一部行政・法律的な場面では「患畜」「畜犬」などが今でも使われることがあります。

飼育者の呼び方

それに伴い、飼い主さんもまたそれに合わせるような変遷をたどっていると感じています。
つまり、
①畜主・所有者 → ②飼い主(オーナー、飼育者) → ③パートナーお父さん、お母さん等という感じですね。

愛玩動物から、伴侶動物への変遷に伴って、ペットから家族として扱うようになったのは比較的最近です。
いまだ、違いはなんとも明瞭とは言い難いですが、個人的には大きな違いだと思っています。
より、人間に近い立場で扱ってもらえるという意識であったり環境というのは良いことです。

昨今はジェンダー、男女差別の観点から、「主人」「嫁」などの用語は使わず、配偶者に対して「パートナー」という言葉を使用するケースが増えているそうです。

気にしない人には「どうでもいい」と思うかも知れませんが、こういった違いは結構重要だと私は思っています。
名称からくる意識の変革というのはバカにできたものではありません。

自分の子供を「飼っている」とは言わないでしょう?

表面上は「家族」と言いつつ、「飼っている」という表現も矛盾を感じますし、そういった言葉の使い方1つで、その人の動物への接し方、考え方が表れると思うのです。

逆に、呼び方を変えるだけで、長期的に意識・扱い方が変ってくると信じています。

飼い主さんの敬称

1⃣なし(飼い主等) → 2⃣さん付け(飼い主さん等) → 3⃣様付け(飼い主様) などのランク?があるように思います。

私は、獣医師と飼い主の関係は、「対等」だと思っています。
謙るものでもなければ、見下すものでもありません。

接客業では、「お客様」と様付けで呼ぶことが多いかと思います。
獣医師業、動物病院での診療もまた商売であり、接客業の1つと言えるでしょう。
しかし、専門職として指導する立場でもあります。
時として要求にNoをしっかりと伝えることも必要ですし、指導管理することも必要となります。
人としての礼儀として、さん付けで、丁寧語で話をするのは当然と考えますが、下手に出てへりくだるのは違うと感じています。

なので、一部の動物病院、獣医師は患者様、飼い主様などと様付けで呼んでらっしゃる方もいるのは存じ上げていますが、私はさん付けとさせて頂いております。

根底として、対等な立場でありたいと願っています。

お父さん、お母さん、飼い主さん、パートナー???

お父さん、お母さんというのは、家族観が出ていて、良い呼び方だと思います。
ペットは成長とともに自立・自活できるようになるわけではありません。
その点からも、永遠の子供であるため、マッチしていると思います。
しかし、その半面、「いつまでも子供」ではないのもまた事実であり、当然のように老化します。
なので、ちょっと難しいなと感じることもしばしばあります。

では、「飼い主さん」はどうでしょうか?
「飼ってる」感が直接的で、家族って感じがしないですよね・・・
法的には飼育者・所有者という点で間違ってはいないのですが、希望する点からは遠いです。

「オーナー」は人によっては、「飼い主さん」よりは柔らかく感じるかもしれませんし、逆に機械的に感じる人もいるかもしれません。

パートナーは、コンパニオンアニマルという言葉から最もしっくりくると思っているのですが、「配偶者」の意味合い・イメージが強すぎるのか、違和感を感じてしまいます。

難しいですね。

呼称の実際

結論から申し上げると、私の理想は「パートナーさん」と呼びたいというのが本音ですが、現状は「飼い主さん・オーナー」と呼んでいます。

まだ「パートナー」という言葉が浸透していないのか、言われた飼い主さんが「?」となることが多いというのが理由です。

(すみません。自分で広めようという努力を怠っています・・・)

ペット・愛玩動物 → 家族・伴侶動物 

この流れを大事にしたいなと思っています。

どこかで、「パートナーさん」、あるいはそれに変る良い呼称に変えたいところですね。

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