動物病院において、患者さんはお客さんとなります。
当たり前と言えば、当たり前です。
そして、我々も、公益性があることとはいえ、事業として行なっている以上、利益は必要です。
夜間に動物病院として営業しており、獣医師と愛玩動物看護師が待機しているのですから、当然のように人件費が発生します。
いうまでもなく、動物病院として、設備費や水道光熱費なども発生します。
動物病院の経費
動物病院で発生する経費をざっくりと簡単に列挙します。
費用内訳
・テナント代
・内装設備費
・医療機器:だいたい1,000万円以上は普通
・備品、消耗品
・税理士、社労士、弁護士などの顧問費用
・水道光熱費
・通信費として、電話代、FAX代、インターネット、セキュリティ費用
・宣伝広告費
・学会参加費、セミナー費用、書籍代
・人件費
・薬剤、医療消耗剤費
などがあります。
費用の割合・比率
実際の内訳に対する比率は、動物病院によって様々です。
例えば、入院が多かったり、手術が多かったりするのと、薬剤処方がメインのところでは大きく変わります。
ただ、おそらくですが、一番は人件費というのが大きいのではないでしょうか。
これは、サービス業として、技術職が専門的な技術・知識・経験を元に、サービス提供しているので当然とも言えます。
逆に、薬剤原価はたいしたことはないと言えばそうかもしれません。
他に大きいのは、テナント代 + 設備費 + 医療機器 でしょうね。
これで数千万円はかかりますので。
原価
獣医療を提供するというのは、ただ、商品として薬剤を売ることではありません。
なので、原価=薬剤費ではないのです。
マッサージをするときに、原価があまりかかっていないから、安くしろ!というのは変ですよね? というのと同じ理屈です。
また、遊園地でアトラクションに乗るときに、ジェットコースターの稼働に最低限必要なコスト(電気代・ガソリン代?)だけ払うのもおかしいですよね?
当然に、設備代がむしろ大きいですから。
そう考えると、動物病院のおいては、人件費と設備費+医療機器と言えます。
人件費の正しい評価
どの会社でも、人事評価というのは大変難しく、実際に正しく給与に反映されることは少ないのではないでしょうか?
なので、どの獣医師・愛玩動物看護師にどのくらい支払うべきかは難しいです。
資格を得るまでの費用
獣医師になるには、6年制の大学を卒業しなければなりません。
愛玩動物看護師は、3年です。
そこに費やされる学費、年数を通常の大学や専門学校を卒業する方と比較して調整が必要です。
ようは、かかった分の費用を、給与というかたちで回収と考えると、人件費がある程度高くても理屈に合いますよね?ということです。
国家資格という稀少性
当然ですが、獣医師・愛玩動物看護師の国家資格を有しているわけですから、そこも給与として反映されるべきだと考えます。
健康のリスク
意外と認知されていませんが、獣医師も動物看護師も、仕事で死にますし、怪我や病気になります。
医者が患者さんに感染症をうつされるというのと同じで、我々もまた、犬猫に傷を負わされたり、感染症をうつされたりします。
これは気をつけていてもどうしようもないものもあります。
命に関わる危険な仕事をしている以上、それに見合う報酬というのは正当だと思っています。
経験や技術・知識の評価
ご存知の通り、専門職はピンキリです。
すごく有能な人もいれば、残念ながら能力が低い方もいます。
経験年数や、技術・知識などは当然ながらその人の価値そのものに直結します。
そして、それを得るために費やした労力、費用(学会参加費や書籍代、セミナー代や休日を利用しているのであれば時間・労力も含む)がかなり発生しています。
そのため、これらもまた給与として反映されるべきものとなります。
個人的には、ここを重要視したいですね。
「知識や経験・技術を得るために莫大なコストを払って、今がある」ということです。
専門職としての責任
獣医師や愛玩動物看護師の中には、この自覚があまりない方もおり、「いいよ。原価かからないから、サービスでやってあげる」と爪切りや肛門腺絞りを無料で実施してしまう方がいるのは残念です。
*個人の意見です。
海外では有料なのが当たり前ですが、日本においては多くの動物病院が「相談無料」だったりします。
弁護士であれば、1時間で数千円~数万円は当然なのですけどね。
どんなに簡単に見えても、原価が人件費以外に発生しなくても、それを習得するために費やした費用はありますし、専門職としての責任があります。
責任というからにはリスクが伴い、リスクが発生することに対しては正当な報酬が発生するべきだと思います。
プロとして、正当な報酬を頂き、責任ある言動をすることが大切だと思っています。
そこでは、決して自分が培ってきた経験・知識・技術などを安売りするべきではないと考えています。
飼い主さんにとっては、診療費が高くなってしまうので申し訳ない気持ちはありますが、なにもぼったくるつもりはなく、あくまでも「ふさわしい対価」を設定すべきだと思っています。
適正価格であることは良い動物病院?
さて、、、
ここまで述べると、高い診療費を正当化しているように聞こえ、不快な思いを抱いた方もいるかもしれません。
しかし、紛れもない本音ですし、何も恥じることはありませんので忌憚なく述べました。
そして、「自分の仕事にプライドと責任を持っている」人であれば、それ相応の価格設定をしているだろう。。。という推測というのはおおよそ成り立つと思ってますので、「高い=悪い」というよりは、むしろ逆を考えてしまいます。
今は調べればすぐわかりますので、近隣の動物病院を比較して頂ければ、おおよその診療費がわかるかと思います。
相場というのはどうしてもありますが、(明らかに逸脱しないというのは大前提です)高い診療費の裏には、それなりの設備・人件費があると思って頂けると幸いです。
そして、その人件費には、今までの研鑽と評価があり、責任・覚悟が入っています。
それが抜けていて安くなっているようでは、真のプロフェッショナルとしての仕事に対するあり方が問われてしまいます。
単なる 薬剤費 + ぼったくり利益 ではないのです。
お勧め夜間動物救急病院
夜にペットの体調が悪くなったら、動物病院の受診をお勧めします
港区(東京23区)
東京23区の港区にあります。
設備は十分とは言えないのが唯一の欠点ですが、オススメの動物病院です。
神奈川県
神奈川県の藤沢・鎌倉・茅ヶ崎・逗子・平塚・寒川の湘南エリアでオススメの動物病院です。
見た目は古民家風ですが、中の設備は救急医療を実施するには十分で、質の高い獣医療が受けられると思います。
執筆 K-VET



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