低体温のわんこが来院

診療ブログ
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今回は、低体温症のワンコが来院したので、お話ししたいと思います。

まさに救急で、放っておくと亡くなってしまう状態でしたが、なんとか無事にお返しすることができました。

低体温とは

定義は、おおむね、「35℃以下」とされていることが多いですね。
麻酔下、手術中などは36℃以下を定義とするなどの記載があるものもありましたので、一律ではないようです。

犬猫の体温の基準値は、おおよそ38.0~38.8℃くらい。
外気温で冷えている場合でも37.5℃以上、興奮してても39.4℃以下が許容範囲の気がします。

獣医師によって、仰る正常値は若干のブレはあるかも知れませんので、ここではおおまかに捉えておいてください。

体温の上下のぶれ

およそ、38.0~38.8℃と基準値を述べましたが、おおまかに犬猫は40℃以上が一定期間以上継続すると致命的となります。
特に、42~43℃以上は短時間でもダメージが大きいです。

基準値よりも、上の体温は危険だということですね。

逆に、低体温を35℃以下と仮に定義すると、上にぶれるよりも、下にぶれた方がまだマシであることがわかります。
高温はやばいけど、低温はまだなんとか耐えられるということでしょうか、、、

とはいえ、35℃を下回った段階で、低体温症と判断し、積極的な保温に努めます。

動かなくなったとの電話

今回は、「夕方、帰宅したらほとんど動かなくなった」とのお電話があり、来院となりました。

お電話では、17歳と高齢であること以外は心当たりはなく、状況がよくわからなかったため、まずは診察してからということになりました。

その時点では低体温であることはさっぱりわからなかったのですが、診察台に乗せて触った瞬間に低体温が判明しました。

とにかく保温!

すみやかに留置針を設置し、血液検査を実施。

最優先で保温処置を実施します。

来院時点での体温は、直腸温で30℃以下での測定不能(機械の測定範囲外でのエラー)でした。

血液検査は、留置針を設置するついでで行なった感じです。

低体温症の場合は、「原因の究明よりも処置を優先」するようにしています。

たとえば、腕から出血している場合を考えてみましょう。
なんで腕から出血してるのか? ケンカしたのか? ぶつけたのか? 
そんなことを考えるよりも、まず止血しますよね?

同様に、低体温の原因を考え、突き止めた上で対応することは重要ですが、優先度としては処置が勝ると私は思っています。
まずは保温処置を優先して、やりながら原因はできる範囲で探っていきます。

外部からの加温と、加温点滴により内部から温めていきます。

原因は不明・・・

今回は、血液検査の結果によって、一部の数字が基準値外でしたが直接的な低体温の原因はわからずじまいでした。

ただ、7時間くらいのお預かりの中で、無事に38℃まで体温が上昇し、意識レベルも回復。

なんとか致死的な状況から生還することができました。

しかしながら、原因がわからなかったことや、高齢であることなどから、保温を終了したことによって、再度低体温になってしまう危険性をお話しし、主治医での継続治療をお願いしてお返しとなりました。

先ほどの出血の例え話もそうですが、「原因がどうであれ、結果として致死的な状況になること」というのはよくあり、その場合は、処置を優先することは多くあります。

何はともあれ、体温を正常域に戻すことを優先して実施しました。

今回はワンコでしたが、ハムスターなどはよく低体温で来院されます。

飼育環境でリスクを軽減できることも多いので、しっかりと管理していきたいですね!

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