心タンポナーデの患者さん来院

診療ブログ
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心タンポナーデは、心臓を包んでいる2層の膜(心膜)の間に体液が貯留し、心臓が圧迫される非常に危険な疾患です。

この状態を放置しておくと、発症後数十分~数時間で20%、24時間で50%、1週間以内に80%以上の患者が死にいたると言われているようです。
*統計データは正確ではないかも知れません。様々なデータを見て、ざっくり平均を書きました。

緊急処置としての対応

言葉で端的に記載することによる誤解などは避けたいので、具体的な治療方法などはあまり明記したくないのですが、一般的には、針を刺して、この溜まった液体を除去する必要があるといわれています。

昼間の先生はもちろん、夜間救急でも、必ず実施してくれるわけではありません。
エコーなどの画像診断装置があるかどうか、手技として技術・経験があり、他の患者さんの来院状況などから、実施を受けてくれる動物病院であることが条件となります。

診療結果

おそらくは、腫瘍を原因とする心嚢水貯留が疑われましたが、原因はさておき、治療です。

心拍数の低減、不整脈の発現、起立困難、呼吸促迫という状態でしたが、心嚢水を抜去し、なんとか心拍は100over、不整脈は消失し、歩行可能な状態になったためお返しと致しました。

予後

根本的な原因が解決しない以上は、その場しのぎの対症療法に過ぎません。
処置そのものもリスクはありますが、予後についてもご説明し、お返しと致しました。

冒頭にも述べたように、基本的には治療後も予後は悪いです。
心嚢水抜去はすべきだと個人的には思いますが、抜けば完治というわけでは全くなく、その後も貯留するケースが多いです。
また、そもそもの心嚢水が貯留する原因を考えたときにも、他に弊害が生じます。

たまったものを抜けば、OKと思ってらっしゃるオーナーが多いので、現状の危険性、処置のリスク、予後についてはいつも以上にしっかりとご説明を致します。

病気の危険性や予後のご説明

今回は、主治医の先生がしっかりとご説明して下さっていたため、処置のリスク、予後について十分な理解が得られていたのは大変ありがたかったです。


夜間救急は、一時的なリリーフ・中継ぎのため、主治医ではありません。
そのため、いつもなら説明についても主治医に委ねるケースがほとんどですが、こういった危機的な状況の場合はご説明は十分にします。

その際に、主治医と言ってることが違う、そもそも主治医に言われてないということが発生することも多いです。
比較的軽症の子であれば、結果として生き死にに関わることが少ないため、説明不足や齟齬が出ても大きな問題に発展することが少ないです。
しかし、明らかに予後不良である場合は、その限りではありません。

オーナーが、納得する形で治療を受け、ある一定の覚悟や想定の下にペットと過ごして頂くことは大事だと思います。
今回は本当に感謝ですね。

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