誤飲・誤食した際の催吐処置について

診療ブログ
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以前、救急医療のおよそ半数は誤飲・誤食と述べたことがあります。
感覚的に間違ってないと思うのですが、本日もまた来院されました。

今回は、オーナーが思い込んでいる誤解について少し述べていきたいと思います。

カーネーションを食べてしまった!

お電話では、カーネーションを食べてしまったとのことでした。
オーナーが、ネットで検索したところ、中毒物質と記載されているサイトを発見したようで、心配になってお電話してきたようです。
以前受診したことがあるかどうかを伺ったところ、誤食で数回来院された方のようでした。
言い方は失礼かも知れませんが、繰り返し誤食をさせてしまっている管理能力に問題のあるかたのようでした。

なお、

①動物病院スタッフは、全ての中毒物質について知っているわけではありません
 都度、「中毒辞典」みたいなものや、文献報告を調べていることが多いと思います。
数万という膨大な物質について暗記しているはずがなく、また動物種によっても様々ですので、メジャーなものはたまたま覚えてしまっていますが、基本としては記憶しているものではありません。
②胃内に存在している場合のみ、催吐処置の適応となり、一定時間経過して腸に流れてしまったら催吐処置は意味をなさない
③催吐処置、あるいは内視鏡で、かならず出せるとは限らない(吐かないこともある)

吐かせれば大丈夫!
と、思っている方は多く、また、吐かせることがノーリスクで確実にできる!
そう思っている方はかなり多いという印象です。

リスク等についてのご説明

今までも何回かいらっしゃっているようなので、説明自体が重複して申し訳ないのですが、、、と思いきや、一つ一つに意外そうな反応を示していたのが印象的でした。

①すでに摂食して吸収されているものによる中毒等はリスクとして、もう事後対応しかない
②中毒量は、個体差があり、どんな少量でもリスクはゼロではない
③催吐処置、内視鏡そのものに、リスクがある
④ものによっては、催吐させてはいけない、催吐させることによるリスクがあるものがある

ここらへんを丁寧に説明していきます。

まるで、「初めて聞きました」みたいにリアクションをしていますが、
同僚の動物看護師さん、獣医師の冷ややかな目が全てを物語っています。

説明責任

インフォームド・コンセントというのがありますので、獣医学的に十分な説明をしっかりとして、理解して頂いた上で検査・処置に同意して頂きます。
当然のことながら、リスクの説明というのは非常に重要です。

普段は口頭にてなされます。
手術や入院など、一部のことについては同意書などにサイン頂くこともあります。

今回は、すでに何回か繰り返している方なので、口頭でのリスク説明や現況理解が困難であると判断し、私は「診療報告書」への説明事項への記載と、その場で作成した「誤食・誤飲について」の説明のプリントをお渡し致しました。

キチンと説明したかどうかというのは、説明責任が伴うので毎回証拠が残るようにしていくのが本来のあり方なのでしょうが、なかなか実施できないというのが現状です。
お互いの理解度を把握しながらの信頼関係で成り立たせてしまっている部分が大きいです。

とはいえ、再発を繰り返すというのは、予防・管理という点や、指導不十分ということでこちらの落ち度もあると思っています。
それで十分とは考えておりませんが、とりあえず今できることとしてのベストを尽くすことが大事だと思っていますので、、、

今回は、説明プリントをその場で作成してお渡しとしました。
自宅に帰り、家族全員が必ず読むように指導いたしました。

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