安楽死

診療ブログ
この記事は約2分で読めます。

非常に賛否がある議題ですが、先日、安楽死を希望される方がいらっしゃったので、少しだけ触れたいと思います。
その時は断りましたけどね。

安楽死の条件

1.患者が耐え難い肉体的苦痛に苦しんでいること
2.患者は死が避けられず、その死期が迫っていること
3.患者の肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし、他に代替手段がないこと
4.生命の短縮を承諾する患者の明示の意思表示があること

上記が安楽死の1つの基準と言われますが、厳密ではありません。
また、動物は「自分自身で意志表示ができない」という根本的な問題があるため、オーナーの意思と読み替えていくことになります。

個人的な追加条件

状況によるというあいまいな表現になりますが、、、
夜間救急に従事する獣医師としては、下記もまた追加条件となります。

5.主治医が判断、実施する

そのため、その日の夜のうちに決断・実施するような緊急性の高いものでないかぎりはほぼ実施しません。
経験上、交通事故とかくらいですね。

提案には必ず組み入れる!

日本と、欧米での安楽死に対する考え方は動物においても大きく異なるそうです。
欧米では、条件を満たす場合、現状できる治療方法の選択肢の提案の際に、必ず組み入れるそうです。
もし、安楽死を選択として入れなかった場合は、訴訟に発展することもあるくらい、大切な選択肢と言われているようです。

日本においては、安楽死が実施されることは少なく、なかには絶対にしない!と断言している獣医師も少なくありません。
個人的には、「動物を助けるために獣医師になったのに、殺したくない」「最後まで、諦めずにできることをしたい」という信念はありますので、提案したくはないです。

しかし、自分の考え方に信念はありますが、同様にオーナーにも信念があるはずです。
10数年連れ添ったペットの、一番身近にいたオーナーの意向を汲んであげることもまた重要だと思います。

私は、自分の信念としては安楽死は原則しない、したくないというのがありますが、
条件を満たした場合は、提案の選択肢には必ずいれるようにしています。
幸いにして、その選択肢を入れることに対して不快感を示す方も今までおらず、それを選択される方もほとんどいらっしゃいません。

欧米が先進国であり、絶対正義とは考えていません。
各国には文化があり、国民性も含めて、正しいこと、合うことにも多様性というのがありますので。
時代や場所によって移り変わるものですし、絶対的・普遍的でない以上は、適応していくことが大切だと考えています。

自分の信念と同様に、オーナーの意向というものも同等以上に大切にしていきたいなあと思っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました