患者さんこないかなあ・・・は不謹慎?

診療ブログ
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タイトルが全てなのですが、、、
今回は、ちょっとこのお話をしたいと思います。

まあ、なんというか、昨日は患者さんが来なかったので、こういうテーマになっただけなんですけどね。

獣医療という行為の善性

自己正当性というと、ただの主観、私見のように聞こえてしまうかも知れませんが、私はこの仕事に誇りを持っていますし、正しいこと、良いことをしていると思っています。
なので、「獣医療は善の行為である」という認識を持っています。

人によっては、「営利目的だろう。金目的だろう」ということを仰る方もいらっしゃると思いますし、それは否定しません。
ただ、獣医療という行為そのものは、病気を発見、予防し、治療、緩和する。あるいは啓蒙活動をしたり、指導します。
ペットの健康は、ペットそのものを幸せにするのはいうまでもないことですが、それを通してオーナーも幸せにします。
人や動物を痛みや苦しみから解放し、幸せにするという行為は善だと思っています。

行為の原因?理由?がめでたいことではないのがよくないのか?

健康診断はともかく、「怪我や病気になること」自体は、あまり喜ばしいことではありません。

なので、「患者さん来て欲しいなあ」というセリフには、「誰か怪我しないかなあ、病気にならないかなあ」とも聞こえてしまうのも事実です。
もちろん、そんなつもりは全くありません。
しかしながら、そう捕らえられてもおかしくないということもまた事実なので、当然ながら誤解を生む発言はしません。

世の中には、こういった職業ってあると思うんですよね。

結婚式場で、「また是非お越し下さい」は「離婚」という一般的にはマイナスイベントを想起させます。
葬儀屋さんで、「是非またご利用下さい」は、「身内で誰か死者が出ることを期待している」かのようにも受け取られてしまいます。
当然ながら、人間の医療機関もまた同様だと思います。

似ているようで違う業種?

実は私は趣味でバイクに乗るのですが、先日、バイクが故障し、修理工場に運んで直してもらいました。
笑顔で「いらっしゃいませ」
去り際も「また何かありましたら是非お越し下さい」
私が属性として、問題があることを直すというジャンルであるためか、まったく気にしなかったばかりか、笑顔や与えられる安心感など含めて非常に好感が持てました。
(ホンダドリームさん、いつもありがとう!)

当然ながら、バイクは壊れないことに越したことはありません。
生き物と機械の差と言えばそれまでなのですが、ふと今回のタイトルのようなことを気にしたのが執筆のきっかけでもあります。

バイク屋さんが
「今日は忙しくて売り上げも高いし、嬉しいね」
「今日は暇だなあ。お客さんこないかなあ」
そう呟いたとしても、さして気にしないような気がするのは気のせいでしょうか・・・

不謹慎なのだろうか

結論からいうと、個人的にはあまり不謹慎だとは思っていません。
ただ、無駄に誤解を生じさせる必要もないですし、一部の方が不快に思うこともあるだろうとは想像できるので、言いませんが・・・

動物病院も運営する以上は利益が必要です。
その点からも、売り上げは必要で、当然ながら来院数は大切です。
とはいえ、余程のことがない限り、それを理由に「患者さん来ないかなあ」とはなりません。
(売り上げがあってもなくても、私の給料は変らないのと、普段忙しいのが現実なので、たまに暇だと嬉しいという方が勝ります)

動物病院へ行くことはマイナスイベントかプラスイベントか

①健康
②発見(オーナーによる)
③来院
④治療

こういった過程を見ると、たしかに、①健康から、②発見の間にトラブルがあることは確かなのです。
それはマイナスイベントなのですが、、、

まず認識として、「ある程度、怪我や病気は起こるものである」というのがあります。
慣れというと良くないですが、「病気にならない動物はいない」というのがあります。
なので、一定数自然に起こりうるものに対しては、たしかにマイナスイベントではありますが、感覚的には想定内となってしまっています。

したがって、
・よく発見して下さいました! 早期に見つけてくれてありがとう!
・ちゃんと動物病院に連れてきてくれてありがとう! 様子見とか放置とかしないで感謝!
・できる限りの治療をして改善してよかったね!

これらの方が、気持ち的に嬉しいんですよね。

病気になったという事実が、ネガティブで、オーナーは不謹慎と思うかもしれません。
上記のようなことで、ポジティブに捕らえる私との違いかも知れません。

オーナーがいない院内では、割りと、「患者さん来ないかなあ」は良く言ってます。
当然ですが、悪意はありません。

お帰りの際の声かけ

そんなこんなで、お帰りの際には、

「お大事にどうぞ」

という定番の挨拶意外にも、
「また何かあったら、お越し下さい」
も普通に言ったりします。

動物病院によっては、「また何かあったら」という添え言葉の有無にかかわらず、「お越し下さい」という言葉を言わないように指導している動物病院さんもいらっしゃる聞きます。

動物病院に行くことが、「ネガティブな行為」と捕らえられるのは仕方ない部分はわかるのですが、なるべくそういった忌避感にも似た感情がなくなり、もっと身近な場所になると良いなと思います。

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