除細動器の適応

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自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator)、いわゆるAEDというものが普及し、いたるところに設置されるようになってだいぶ経過しました。
AEDの良いところは、除細動が必要かどうかを判断してくれるところにあると思っています。

心停止のペットが来院しました。

すでに来院時には心停止していたペットが来院しました。
時間もそれなりに経っていたため、すでに蘇生処置の適応対象ではありませんでした。

オーナーが、「バチバチってやる電気ショックとかで生き返ったりしませんかね・・・」と一言。

(除細動器による電気ショックのことを仰っているんだろうけど・・・あれは、蘇生装置ではなくて、不整脈を治す機械なんだよなあ)

そう思いながら、その場は一通りご説明し、死後処置だけ実施してお返しとなりました。

ちょっと気になったので、除細動器について少しだけお話したいと思います。

除細動の適応

心室細動や心室頻拍という心臓が痙攣している状態に適応となります。
厳密には、心室頻拍(VT)や心室細動(VF)等の重篤な不整脈に対し行われます。
その他にも心房細動(AF)・心房粗動(AFL)等にも施行されます。
心電図を見ると、波形は変であっても、波形は存在するので、一見すると心臓が動いているようにも見えますが、立派な心停止です。

あくまでも、上記に挙げられるような致死的な不整脈によるものが適応となりますので、
心停止であれば、必ず電気ショックを与えるわけではありません。

冒頭にも述べましたが、AEDの素晴らしいところは、自動的に心電図の測定・解析を行ない、適応となる心停止状態(心室細動など)の患者さんに対して、電気ショックを与え(除細動)、心臓を正常なリズムに戻すショックを与えてくれるところです。

自動でない除細動器は、DCあるいは直流除細動器と言われますが、最近の除細動器には自動判定モードがついていて、実質AEDだったりもします。
いずれにせよ、心臓を動かす装置ではありません。

完全なる「心静止」の状態から、心臓を動かす装置ではないのです。

蘇生処置

止まってしまった心臓を再拍動させるための処置としては、心臓マッサージなどがあります。

しつこいようですが、除細動器は、細動を除去する、不整脈を治す機器であり、心臓を再拍動させるような蘇生装置ではありません。

できる最善を尽くす。
それは当然やるべきですし、そういったオーナーの要望には出来得る限りの協力をするのは努めだと思っています。
しかし、獣医学的な根拠のないことは、治療ではなく、時として虐待ともなります。
気持ちに寄り添いつつ、しっかりとご説明し、ベストを尽くしていきたいです。

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